鳴らなかったインターホン

うちの事務所のインターホンは、ずっと鳴らなかった。
古い一軒家を友人から借りていて、
壁に埋め込まれたタイプのインターホンは、
もう何年も前に沈黙したままだった。

来客があっても気づけず、
「すみませーん!」という声が風に乗って聞こえるたびに、
「ああ、直さなきゃ」と思いながら、何か月も過ぎていった。

ようやく動いたのは、この秋のはじめ。
父に頼んで、新しい呼び鈴を取り付けてもらった。
電池も配線もいらないタイプで、
ボタンをぐっと押し込むと、その力で中の歯車が動き、
わずかな電力が生まれて無線で信号を送る。
室内の受信機がその電波を受け取り、
「ピンポーン」と軽やかな音を鳴らす仕組みだ。

初めて鳴ったとき、
なんだか胸の奥までスッと風が通ったような気がした。
誰かが来て、呼びかけてくれて、
それにちゃんと気づけること。
それだけのことが、こんなにも嬉しいとは思わなかった。

鳴らなかったものが、鳴るようになる。
それは、止まっていた時間が少し動き出す瞬間でもある。
仕事も、人生も、
たぶんそんな“小さな修理”の積み重ねなのかもしれない。


🐾まねまるの一言
「ピンポーンって音、
“まだ大丈夫だよ”って世界が返事してくれたみたいだったニャ🔔」

関連記事

  1. 補助金の「賃上げ要件」って結局なに?誤解されやすいポイントを…

  2. やる気が出ないときに、無理に仕事しなくてもいい理由。

  3. 【補助金と税金】補助金って課税対象?申告で気をつけたいこと

  4. 【承継後の一歩】こんな落とし穴に注意!許認可の“うっかりミス…

  5. 【夏の現場あるある】補助金申請で知った、建設現場のリアルと職…

  6. 【相続と事業承継】“継がない子”にもちゃんと遺すために考えて…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。


Warning: Undefined variable $user_ID in /home/kaeru0364/and-w.jp/public_html/wp-content/themes/birth_tcd057/comments.php on line 145
PAGE TOP