🐾 行政書士探偵まねまる事件簿

 第2話「二つの遺言事件」

第3回:解決編「遺言が伝える思い」

二通の遺言書を前に、依頼人の女性は黙り込んでいた。 父の自筆が残る紙の温もりと、公証役場で作られた確かな印影。 どちらにも、父の想いが込められているように見えた。

🐾 まねまる:

「真相はこうにゃ!」

まねまるは机の上に飛び乗り、しっぽをピンと立てて言い放った。 「有効なのは公正証書遺言にゃ。形式も整っていて、法律的に揺るぎない。 一方の自筆証書遺言は、日付の訂正が不完全で、残念ながら効力を持たない可能性が高いにゃ。」

💡 みどり:

「遺言は後に作られたものが優先されます。そして今回は、公正証書遺言の方が新しく、形式も完璧。 ですから、最終的に有効とされるのは公正証書遺言という結論になります。」

依頼人の目に涙が浮かんだ。「やっぱりそうですか…。でも、父が自分の手で書いた遺言を無駄にしてしまうようで…心が痛みます。」

🐾 まねまる:

「それは違うにゃ!」

まねまるが声を張り上げた。 「二つの遺言が残っていたのは、お父さんがそれだけ強い想いを持っていた証拠にゃ。 書き直したという事実そのものが、想いの変化を表している。 つまり、どちらの遺言もお父さんの気持ちを伝える大切な手紙なんだにゃ。」

💡 みどり:

「法律上の効力を持つのは公正証書遺言ですが、 相続人同士で話し合うときに、自筆証書遺言の内容も尊重することはできますよ。 それが、お父さんの想いをきちんと引き継ぐことにつながります。」

依頼人はハンカチで目をぬぐい、少し笑みを見せた。 「父の気持ちを無駄にせずに、兄とも話し合ってみます。ありがとうございました。」

🐾 まねまる:

「未来に残す言葉は、形式も大事にゃ!」

得意げに胸を張るまねまるに、依頼人も思わず笑った。 こうして「二つの遺言事件」は幕を閉じたのだった。


📘 豆知識コラム

二つの遺言が出てきたらどうなる?

  • 原則として最後に作られた遺言が有効
  • ただし形式を満たさない遺言は無効
  • 自筆証書遺言は、日付・署名・押印が必須
  • 公正証書遺言は、公証人と証人立会いで作成されるため形式的に最も確実

遺言は「家族に残す最後のメッセージ」。 想いをきちんと形にするために、形式を守ることが大切です。


🐾 登場人物紹介

  • まねまる:探偵帽と虫眼鏡がトレードマークの猫。事件の真相をひらめく名探偵。
  • みどり先生:行政書士。遺言の有効性を冷静に判断し、依頼人を導く。
  • 依頼人:父の二つの遺言を発見した女性。父の想いを尊重しながら前に進むことを決意した。

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