余白を織る ー 日々の片隅から ー

第3回 静かなところで、線を引く

人に対して、どこまで関わればいいのだろう。
そんなことを考えるようになったのは、
仕事でも、それ以外の場でも、
「気づいたら自分が前に出ていた」という場面が増えたからだ。

私はもともと、率先して手を挙げたいタイプではない。
できれば静かにしていたいし、注目されるのは苦手だ。
でも、自分の得意なこと——絵を描いたり、言葉で表現したり——
そういう分野で誰かが困っていると、
「それなら私にできるかも」と思ってしまう。

それは、助けたいというより、
「どうせやるなら丁寧に、形にしたい」という気持ちに近い。
けれど、それを続けているうちに、
いつの間にか“頼られる側”に立っていて、
そこから抜け出すのが難しくなる。

せっかく作ったものや意見を、
軽く扱われたときに感じる小さな苛立ち。
それは、優しさよりも、
“誠実に向き合いたかった自分”が傷ついた瞬間なのかもしれない。

私は今も、線の引き方を模索している。
差し出すことと、自分を守ること。
そのどちらも大切にしながら、
少しずつ、自分の形の優しさを見つけていきたい。

— 奈津


🐾まねまるの一言
「優しさって、目立たないところに咲く花ニャ🌸
でも、踏まれっぱなしの花じゃ悲しいニャ。」


✎ シリーズについて

このエッセイは、行政書士である私自身を投影した「奈津」という架空の人物が語り手となり、
日々の小さな出来事や心の揺れを綴っています。
フィクションとして、けれど私の分身として――「余白を織る」シリーズをお届けします。

関連記事

  1. 余白を織る ー 日々の片隅から ー

  2. 余白を織る ― 日々の片隅から ―

  3. 余白を織る ー 日々の片隅から ー

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP