はじめに
このブログに、ときどき「奈津」という人物が登場します。
奈津は行政書士でありながら、日々の暮らしや小さな心の揺れを大切にしている女性。
もちろん実在する誰かではなく、私自身の分身のような存在です。
奈津の目を通して、季節の変わり目や、ちょっとした感情の動きを綴る「小さなエッセイ」を始めます。
堅苦しい記事ではなく、日常のひとコマを切り取った、軽やかな読み物としてお楽しみいただければ嬉しいです。
第1回 琥珀のしずくが落ちる音
9月の下旬。事務所の窓を開けると、夏の湿気がようやく抜けて、ひんやりと澄んだ風が入ってきた。
いつもは氷を落としたアイスコーヒーで済ませるけれど、今日はふと「挽きたてを飲もう」と思い立った。
電動ミルのスイッチを押すと、ガーッと一気に豆が砕けていく。その機械的な音が朝の静けさに混ざり、なぜか心が整う。
こないだ買ったばかりのポットから、細い湯を落とすと、ガラスの底に淡い琥珀色の液体がたまっていった。カップに注ぎ入れると、色はぐっと深くなり、香りがふわりと広がる。
今日の豆はいただきものの「キリマンジャロ」。酸味より苦味が勝っていて、私好みだった。砂糖もミルクも加えずにそのまま飲む。ひんやりした秋の空気と、熱い苦味がちょうど釣り合っていた。
ほんの数分のことなのに、この一杯が今日を始める儀式のように感じられた。
きっと小さな習慣の積み重ねが、私の日々を少しずつ形作っていくのだろう。
— 奈津
🐾まねまるひと言
コーヒーの雫はただ落ちるだけじゃなくて、「心を整えるリズム」でもあるんだにゃ。
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