【後見制度の限界】経営者が認知症に…会社はどうなる?

こんにちは。
三重県の行政書士、鷲尾です。

6月は「事業承継と相続」をテーマにブログを更新しています。

今回は、「経営者が認知症などで判断能力を失った場合、会社はどうなるのか?」というテーマでお届けします。

後見制度があれば安心?

成年後見制度とは、判断能力が低下した方の代わりに、
後見人が財産管理や契約などを行う制度です。

「これで会社のことも大丈夫」と思っている方も多いですが、
実は、後見制度では“できないこと”もたくさんあります。

後見制度ではできない主なこと

  • 会社の経営判断(契約・融資・人事など)
  • 会社名義での積極的な投資や新規事業
  • 役員の選任や辞任手続き

つまり、「会社を動かすこと」は原則としてできないのです。

なぜなら、後見制度の役割は「本人の財産を守る」ことであり、
リスクのある経営判断は“後見人の権限外”とされるからです。

取引先や金融機関にも影響が…

経営者が認知症になったとわかった瞬間、

  • 金融機関の融資が止まる
  • 代表印の使用が制限される
  • 重要な契約が結べなくなる

といった事態に陥ることもあります。

事前にできる対策は?

① 任意後見契約

元気なうちに「この人に後見を任せる」と契約しておく制度。
将来的に後見が必要になったとき、信頼できる人に任せられるのが特徴です。

② 家族信託

自分の財産(株・不動産など)を信頼できる家族に“託す”しくみ。
判断能力がなくなっても、受託者が柔軟に運用・管理できるのがメリットです。

どちらも元気なうちに契約する必要があるため、早めの準備が重要です。

まとめ:判断力は、経営力のひとつ

「社長業は頭がしっかりしていないとできない」
――まさにそのとおりです。

だからこそ、判断力があるうちに、もしもの備えを。
それが、会社・家族・従業員を守ることにもつながります。

次回(6/23)からは「家族信託やM&Aなど、承継の選択肢」についてお届けしていきます。

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