【生前贈与と株式承継】“あげるだけ”じゃダメ?株を渡すときの注意点

こんにちは。
三重県の行政書士、鷲尾です。

6月は「事業承継と相続」をテーマにブログを連載中です。

今回は、「自分が元気なうちに株を後継者に贈与しておきたい」
と考える経営者の方へ、生前贈与の注意点をお伝えします。

生前贈与=とりあえず安心、ではありません

「相続より早く渡せるなら、贈与の方がいい」と考える方も多いですが、
実は生前贈与には“贈与税”という大きなハードルがあります。

特に自社株の場合、評価額が高額になるケースが多く
何も対策しないまま贈与すると、多額の税負担が発生することも。

自社株の「評価額」を知っていますか?

上場していない中小企業でも、税務上は「株式の評価」が必要です。

会社の利益や資産、取引条件などに応じて評価が行われ、
1株あたり数万円、数十万円ということも珍しくありません。

この評価額に基づいて贈与税が計算されるため、
“贈与しただけで数百万円の税金”ということもありえます。

税制優遇を使えるケースも

中小企業の事業承継を支援する制度として、
「事業承継税制(特例措置)」を使えば、
一定の条件下で贈与税や相続税の納税猶予が受けられます。

ただし、認定支援機関の関与や都道府県への計画提出など、
手続きは煩雑で、期限や条件を満たさないと無効になるリスクもあります。

こんな点にも注意!

  • 贈与後の株式の扱い(譲渡制限など)
  • 株主総会での議決権の変化
  • 後継者が本当に「経営の覚悟」を持っているか

“渡す”ことが目的になってしまい、準備不足で後悔するという事例も見られます。

まとめ:生前贈与は「事業の覚悟」とセットで

生前贈与は、相続より前にバトンを渡せる有効な方法です。

ただし、税金・評価・制度・経営の責任など、
しっかり考えてから動く必要があります。

「元気なうちに渡しておけば安心」ではなく、
「元気なうちに準備することで、次の世代が安心」
になるように。

次回(6/20)は、
「経営者が認知症に…後見制度では会社を守れない?」をテーマにお届けします。

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