【遺言書と事業承継】後継者をきちんと決めておくために書くべきこと

こんにちは。
三重県の行政書士、鷲尾です。

6月は「事業承継と相続」をテーマにブログを連載中です。

今回は、会社を継がせたい相手が決まっている場合、遺言書に何を書いておくと安心か?
について解説します。

「遺言書で後継者を指定」はできる?

結論から言えば、できます。
ただし、“会社の後継者”を明記するだけでは法的な効力は不十分。

重要なのは、「株式の行き先」と「経営に関わる資産の指定」です。

ポイント① 自社株式の承継先を明記する

中小企業の経営権は、多くの場合「株式の保有」によって決まります。

ですから、遺言書には「〇〇に全株式を相続させる」と明記しておくことが重要です。

遺言がないと、株式も他の相続財産と同じく分割協議の対象になり、
継がない家族に株が分配されてしまう可能性があります。

ポイント② 事業用資産の取り扱い

会社名義ではなく、社長個人が所有している不動産(事務所や工場)がある場合は要注意。

これらも相続の対象になるため、
誰に渡すのかを指定しておくことで、承継後のスムーズな利用が可能になります。

ポイント③ 他の相続人への“配慮”も忘れずに

「会社を継ぐ子には経営に必要な資産を集中させる」としても、
継がない子や他の家族に何を遺すかという視点もとても大切です。

金額のバランスというよりも、“気持ちの納得”があるかどうかが後々のトラブル回避につながります。

遺言書の種類は?

自分で書く「自筆証書遺言」、
公証人が作成する「公正証書遺言」などがありますが、
事業承継に関しては、公正証書遺言をおすすめします。

理由は:

  • 形式不備で無効になるリスクが低い
  • 検認手続きが不要ですぐに使える
  • 内容の確認や相談ができる

まとめ:遺言書は、事業承継の“土台”になる

「まだ元気だから」「家族もわかってくれてるはず」
そんな想いはとても自然なものですが、文書として“残す”ことが、未来の家族と会社を守ります。

後継者が決まっているからこそ、
その人が動きやすくなる準備を、今から始めていきませんか?

次回(6/18)は、
「生前贈与で“株を渡す”ときの注意点」をお届けします。

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