こんにちは。
三重県の行政書士、鷲尾です。
6月は「事業承継と相続」をテーマにブログを連載しています。
今回は、よくあるご相談の中でも特に多い、
「会社を継がない家族が“経営に口を出す”問題」について取り上げます。
よくあるパターン:兄が継がず、弟が社長に
たとえばこんなケース:
父が創業した会社を、長男は継がず、次男が社長に。
しかし、父の死後、長男も自社株を相続し“株主”になったことで、発言権を得てしまった。
次男としては「経営していない人に口を出されるのはやりづらい…」と感じている。
実はこれ、かなりよくあるトラブルの原因のひとつです。
なぜ継いでいないのに口出しできるのか?
答えはシンプル。
“株主”だから。
株式会社は、経営を担う「取締役」だけでなく、
株主が“オーナー”としての立場を持つという構造になっています。
つまり、株式を持っている限りは、
「経営の方針に口を出す権利」もあるということになります。
家族間の温度差がトラブルを生む
継がなかった兄としては、
「会社の資産も父の遺産の一部だ。弟だけが得しているのでは?」と感じているかもしれません。
一方、社長になった弟としては、
「責任も業務も自分が全部背負っているのに、言われるばかりでつらい」
この“気持ちのギャップ”が、深刻な軋轢になることもあります。
どうすれば防げるのか?
いちばんのポイントは、「誰に株式を渡すか」を事前に明確にすることです。
おすすめの対策:
- 遺言書で株の承継先を明記しておく
- 会社の定款で譲渡制限・承認制を設けておく
- 生前に一部贈与し、意向を伝えておく
「継がない兄弟に株を渡さない=冷たい」わけではありません。
経営の混乱を防ぐことは、会社・社員・そして家族を守ることにもつながるのです。
まとめ:“株を分ける”ことがトラブルのもと
「家族だから大丈夫」「兄弟仲がいいから問題ない」
そう思っていても、お金と経営が絡むと、人の気持ちは変わるもの。
感情がこじれる前に、事前に「仕組み」で整理しておくこと。
それが、後継者の負担を減らし、家族みんなの関係を守ることにもなります。
次回(6/13)は、
「後継者は“決まってるのに揉める”のはなぜ?」をお届けします。
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