第4話「消えた地目変更」
第1回:導入編「決裁の場で走ったざわめき」
「先生、実はちょっと困ったことが起きてしまって…」
電話口の声は不安げだった。 市内で土地を売却したいという依頼人の相談を受け、私は農地転用の許可を無事に取得していた。 地目が「田」や「畑」だった土地を、住宅用地として使えるようにするための手続きだ。
許可通知書を手にしたとき、依頼人も私もほっと胸をなでおろした。 「これで売れる」と思ったのも束の間――事件は決裁の場で起こった。
🐾 まねまる:
「にゃにゃっ? 決裁の場で事件発生だにゃ!」
💡 みどり:
「そうなの。契約と代金のやり取りは進んだんだけど、司法書士の先生が一言―― 『地目変更がされていませんね。このままでは登記できませんよ』って。」
会議室の空気が一瞬にして張り詰めた。 依頼人は「えっ、農地転用は終わっているのに…?」と困惑。 司法書士の視線の先には、法務局に提出するはずの登記簿。そこにはまだ「田」の文字が残っていた。
🐾 まねまる:
「ほほう、それは“消えた地目変更事件”にゃ!」
探偵帽をかぶり直し、虫眼鏡を構えるまねまる。 「農地転用をしただけで地目が変わると思ったら大間違い。登記を変えるには土地家屋調査士の出番が必要にゃ!」
依頼人はうなだれ、「そんな説明、聞いていなかった…」とつぶやいた。
こうして、思わぬ場面で露呈した“地目変更の空白”。 事件は新たな局面を迎えるのだった。
👉 次回へ続く🐾
🐾 登場人物紹介
- まねまる:探偵帽と虫眼鏡がトレードマークの猫。土地取引の盲点を嗅ぎ分ける。
- みどり先生:行政書士。農地転用の手続きは完了させたが、登記の流れまで伝えきれなかったことを反省する。
- 依頼人:土地売却を進めていたが、地目変更の不備で思わぬ壁に直面する。
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